晴の思い出



ライラックの演奏中ずっと爽やか好青年をガン見。きっと私の視線に気付いてただろう。

全ての曲が終わって次のバンドが出て来た。

演奏も歌詞も下手。これが最後のバンドみたいだから帰ろう。


「来てくれないと思ってた。」

振り向くと爽やかな笑顔の爽やか好青年

『……どうも、一応誘われたので。でも帰ります、さようなら。』

「ちょっと待って!メンバー紹介するよ。」

『けっこうです。失礼します。』

さっきから爽やか好青年狙いの女の子たちの視線が痛い。…お前も気付け!

「あの…、ライラックの夏さんですよね?」

爽やか好青年狙いの派手なメイクの女が声をかけて来た。

「そうだよ?」

「私ファンなんです!今日すごくステキでした!」

『…私、邪魔なので帰ります。それでは…』

ただ話してただけなのに睨むなよ。肌ボロボロのくせに厚化粧は痛いよ?
内心そう呟きながらライブハウスを出た。





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