晴の思い出
『面白い?』
「何が?」
『ナンパに気付かずにホイホイやって来た私を見て面白い?』
「………。
やっぱり勘違いしてる。俺はただ、自分たちのライブを見て欲しくて、君に会いたくてチケットを渡したんだ」
『じゃあなんで目反らしたの?』
「いや、…恥ずかしかったから?嫌な思いさせたよね。ごめん」
…結局、私の勘違いか。
『そうだったんですか。
こっちこそごめんなさい。』
「別に良いんだ。しょうがないよ。
君に改めて頼みがあるんだ。今から時間ない?」
『…ある。』
「じゃあ一緒に来て?」
連れて来られたのはさっきのライブハウス。
お客さんはもういない。
「お待たせ。」
爽やか好青年が声をかけると3人の男がこっちに手を振る。
「まず紹介します。希美ちゃんです!」
「こんばんわ、ボーカルの透(トオル)です。」
笑顔が似合う明るい人。
「どうも。ベースの瞬(シュン)です。」
クールな人。
「ドラムの慶(ケイ)です!よろしく♪」
なんかチャラい。
『…どうも。』
「みんな幼なじみで、中・高・大学とずっと一緒なんだ。」
『で、私に頼みって?』
「あぁ、あのさ、俺たちの曲のPVに出てくれないかな?」
『………はぁ?』
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