晴の思い出



『面白い?』

「何が?」

『ナンパに気付かずにホイホイやって来た私を見て面白い?』

「………。

やっぱり勘違いしてる。俺はただ、自分たちのライブを見て欲しくて、君に会いたくてチケットを渡したんだ」

『じゃあなんで目反らしたの?』

「いや、…恥ずかしかったから?嫌な思いさせたよね。ごめん」

…結局、私の勘違いか。

『そうだったんですか。
こっちこそごめんなさい。』

「別に良いんだ。しょうがないよ。

君に改めて頼みがあるんだ。今から時間ない?」

『…ある。』

「じゃあ一緒に来て?」


連れて来られたのはさっきのライブハウス。
お客さんはもういない。

「お待たせ。」

爽やか好青年が声をかけると3人の男がこっちに手を振る。

「まず紹介します。希美ちゃんです!」

「こんばんわ、ボーカルの透(トオル)です。」

笑顔が似合う明るい人。

「どうも。ベースの瞬(シュン)です。」

クールな人。

「ドラムの慶(ケイ)です!よろしく♪」

なんかチャラい。

『…どうも。』

「みんな幼なじみで、中・高・大学とずっと一緒なんだ。」

『で、私に頼みって?』

「あぁ、あのさ、俺たちの曲のPVに出てくれないかな?」

『………はぁ?』




.
< 130 / 137 >

この作品をシェア

pagetop