晴の思い出



家に着いたのが12時過ぎ。

『ただいま。』

遅いから小声で言ったのに

「お帰り〜!」

リビングからお母さんの明るい声が返って来た。

「お帰り、早かったね?」

『ただいま。でも16歳の子に言う言葉じゃないよね。
お父さんは?』

「もう寝てる。いつもより早いでしょ?」

『それもそうか。』

バックをソファーに置いて冷蔵庫からお茶を取ってコップに入れる。

「今日はどこに行って来たの?服からタバコとお酒の匂いがする。
希美、タバコ吸ってるの?」

お母さんとソファーに座る。

『吸ってない。今日はライブハウスに行ったからそこで匂いがついたんじゃない?』

「ライブハウス?珍しい。知り合いでも出てるの?」

『…まぁ知り合いかな?街に行ったついで?
しかも!急に爽やか好青年のバンドのPVに出てくれって言われた。返事はまだしてないけど。』

「なんてバンド?」

『確か、ライラックだったかな?CDもらったんだけど…』

バックの中からCDを出す。

「ライラック?ふ〜ん。それで?出るの?」

『まだ決めてないって。CD聞いてから!』

「なんだぁ、ついに希美も映像デビューかと思ったのに。」

『勝手に盛り上がらないでよ。私もシャワー浴びて寝るからお母さんも寝たら?お肌に悪いよ〜?』

「もう!じゃあ寝るわ!おやすみ」

『おやすみ〜』



とりあえず、聞いてみよう。
気に入らなかったら断れば良いし。





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