晴の思い出



『あの…今日はもう良いですか?

なんだか疲れてしまって。警察にはまた今度お伺いしますから。』


これは嘘じゃない。


「そうだね。もうすぐ10時だし、また警察署に来てくれれば。」


『ありがとうございます。ではまた後日。』


「僕も失礼します。」


「君、送ってあげたら?」


はっ?

おいおい警官、何言ってるの?


『大丈夫です。1人で帰れますから。』

「でも遅いし…、その服じゃ…」

そう言いながら破れた袖を見る

…確かにこのまま夜道は危ない。

でも借りを作りたくない。

『本当に大丈夫です!また迷惑かけちゃうし…』


断ってくれ爽やか好青年!


「良いですよ。時間もあるし。」


「そう良かったね。」


『でも迷惑じゃ…』


ここまで言ってるんだ

断ろうよ。


「平気だから気にしないで」


「一件落着。気をつけてね。」


『…はい、失礼します。』


「失礼します。」


最後までか弱い女の子を演じてコンビニを後にした。


爽やか好青年と一緒に。





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