晴の思い出
アメリカに着いて3日。
防護服を着てお母さんと一緒に大きな病院に来た。
この病院はXPの研究が一番進んでいるらしく、私と同じ病気の患者が世界中から集まるみたい。
検査をしたけどやっぱり足を治すには手術が必要だって。
病室は同世代の子達と一緒の大部屋だった。
日本で覚えたカタコトの英語で挨拶をする。
お母さんは売店に行ってるから通訳的な事が頼めない。
英語が喋れない私はみんなに何て言えば良いかわからなくて、自分のベッドで日本から持って来た絵本を開いた。
…隣のベッドから視線を感じる。
………何?
『あの、』
プイっとそらされる。
………?
何だろう?
会って数分、彼女に嫌な事をした覚えはない。
ただ日本人が珍しいだけなのかな?
時々彼女の視線を感じながらも絵本に集中した。
お母さんが戻って来て、私にジュースやお菓子をくれる。
また彼女の視線を感じる。
話しかけようと思うんだけど勇気が出ない。
お母さんに相談しようと思ったけど、入院してすぐに心配はかけたくないから黙っていた。
.