晴の思い出



検査が終わってお母さんとマリアの病室に入ると


こっちを見て微笑んでくれた。


手紙を渡してお喋りしようとしたのに、マリアのお母さんが「もう帰って」って。


マリアがごめんね。…そう謝って来た。

ちょっと調子が悪いのかと思ったから


『わかった。今日はもう帰るね。』


「希美、これ、私のお守り。大事にしてね?


…私の分まで生きて。

精一杯生きて。」


マリアは大切にしてたネックレスをくれた。


『……?

うん!』


受け取って笑ったら、


マリアは安心した顔になって眠りについた。




"マリアの分まで精一杯生きる。"





それがマリアとの最後の約束になった。







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