晴の思い出
勉強ばかりしている間にまた誕生日の時期が来た。
私は相変わらず家からほとんど出てない。
月1回の病院での定期検査以外で昼間に外に出ることはない。
病院に行く時、家から車までの数メートルがすごく長く感じられた。
病院に着いた時も同じ。
ずっと気にならなかったはずなのに、思春期とはこんなものなんだろう。
でもXP患者専用の病棟では防護服を脱いで、
年下の子たちに勉強を教えてあげたり、ピアノを弾いたりして、
…この時だけは、普通の女の子だった。
ちょうどこの日は月に1度行われる誕生会だったから、ピアノでバースデーソングを弾いて、みんなと一緒にケーキを食べた。
すごく楽しくて久しぶりに笑った気がする。
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