晴の思い出
『ケーキ切ろうよ』
誕生会も終わりに近づき、私はケーキを前に上機嫌だった。
「その前にプレゼントがあるんだ。」
『そうだ!そうだよね、だって私の誕生日だもん!』
「はい、これ。」
『何?センスある物じゃなかったら許さないからね!』
冗談まじりに言いながら包みを開けた。
『これ…、』
中身はずっと欲しかったピアノの楽譜だった。
ちょっと高いからお小遣いを貯めて買おうと思っていたから
すごく嬉しい。
「ずっと欲しがってただろ?…まぁお母さんに聞いたんだけど。」
『ありがとう!嬉しい!』
「ねぇ、何か弾いてみて?」
お母さんに言われて楽譜を開く。
『…じゃあ1曲、』
選んだ曲はマリアが好きだった曲。
いつの間にか私はマリアより長く生きていたんだ。
マリアの事を考えながら弾いた。
曲が終わると小さな拍手をもらった。
『……なんか恥ずかしい!』
「上手だったよ。」
『…ありがとう。』
「もうひとつ、プレゼントと言うか、…話しがあるんだ。」
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