地味なあの子は鬼狩り少女SS




「……兄ちゃん」



――鬼頭裕也。


神無にとっての兄であり、世界で唯一の肉親。


そんな彼は、柔らかな鳶色の髪を揺らして笑うと、神無の額に軽く口づけつつその手から『符』を抜き取り



「『鬼』は、俺が一気に蹴散らすから。…神無は結界の維持に集中しといてくれ」



そう言いながら神無を離し、公園の中央へと歩き出した。



「………わかった」



それに神妙な顔で頷いた神無は、気負いなく歩く裕也の背中に視線を注いだ。




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