HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「暖人。ずいぶん匂うな」
新聞をめくるついでに父が顔を見せて俺を睨んだ。この父親は古い考えの持ち主で、高校生はいわゆる硬派な格好をすべきだと信じている。当然俺は毎朝服装やら髪型などを注意されていた。
「父さんの鼻も正常に働いているみたいで安心だね」
「お前は外見を飾るだけの能しかないのか」
「ダサい格好で真面目なのがいいって、いつ、どこの、何の基準?」
「口だけは一人前だな」
「ぎゃーーーーーっ!!」
突然キッチンから悲鳴ならぬ絶叫が聞こえた。
父が諦めたように目を瞑り新聞を膝の上におろした。妹がふらふらとキッチンへ消える。すぐに絶叫の理由が判明した。
「はい、目玉焼きとソーセージが炭になりましたー!」
妹の手には元が何だったのかもわからない黒い物体が載せられた皿……。
後ろから母が鼻をすすりながらサラダを山盛りにしたボールを持ってきた。勿論、嘘泣きだ。
「だってー、お母さんは二つのことを同時になんかできないんだものー!」
そう言い訳し始めた。ほぼ毎日聞く台詞だ。母の脳には残念ながら学習能力というものは備わっていないらしい。
この家庭は平和だ、と食パンを頬張りながら思う。ちなみに我が家の朝食はパンだ。
「ねー、ねー、聞いてよ」
母が席に着くなり口を開く。料理を失敗したことなどきれいさっぱり忘れたらしく、いつになくハイテンションだ。
「パンパカパーン! なんと、ひろちゃんに彼女ができましたー!」
「はぁ!?」
新聞をめくるついでに父が顔を見せて俺を睨んだ。この父親は古い考えの持ち主で、高校生はいわゆる硬派な格好をすべきだと信じている。当然俺は毎朝服装やら髪型などを注意されていた。
「父さんの鼻も正常に働いているみたいで安心だね」
「お前は外見を飾るだけの能しかないのか」
「ダサい格好で真面目なのがいいって、いつ、どこの、何の基準?」
「口だけは一人前だな」
「ぎゃーーーーーっ!!」
突然キッチンから悲鳴ならぬ絶叫が聞こえた。
父が諦めたように目を瞑り新聞を膝の上におろした。妹がふらふらとキッチンへ消える。すぐに絶叫の理由が判明した。
「はい、目玉焼きとソーセージが炭になりましたー!」
妹の手には元が何だったのかもわからない黒い物体が載せられた皿……。
後ろから母が鼻をすすりながらサラダを山盛りにしたボールを持ってきた。勿論、嘘泣きだ。
「だってー、お母さんは二つのことを同時になんかできないんだものー!」
そう言い訳し始めた。ほぼ毎日聞く台詞だ。母の脳には残念ながら学習能力というものは備わっていないらしい。
この家庭は平和だ、と食パンを頬張りながら思う。ちなみに我が家の朝食はパンだ。
「ねー、ねー、聞いてよ」
母が席に着くなり口を開く。料理を失敗したことなどきれいさっぱり忘れたらしく、いつになくハイテンションだ。
「パンパカパーン! なんと、ひろちゃんに彼女ができましたー!」
「はぁ!?」