HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「まぁ、ちゅーはそのうちでいいよ」

 そう言ってソイツは私のノートを覗き込んだ。

 ちょ……近すぎます!!

 しかもなんかいい匂いとかするし! 紅茶みたいな? ……これって香水なの??

 何だか頭がクラクラした。

 私の心臓はこの何分かの間に1時間分くらいの働きをしたかもしれない。何か悪い病気かもしれないと心配になる。

 それからソイツは私の書き取るスピードに合わせて黒板を読んでくれた。

 しかも頼んでいないのに、次の時間からも私のノートを取る手が止まると、ノートと黒板を見比べて読み上げてくれた。

 私は素直に彼に感謝した。……勿論心の中で。

 だって言葉にしたらまた何か言われそうだもの。「お礼は……」とかね。

 でも、あれって……その、ほっぺにちゅー? ……って、冗談だよね?

 相手は私だよ?

 冗談でも私にそんなこと言って楽しいんだろうか?

 私はソイツの顔を見ないようにした。見ると本当に心臓が暴れ出しそうで怖い。

 それでも彼が私のノートを覗き込むたび、いい匂いがしてクラクラする。お願いだからそんなに近寄らないで!

 ……でもなぁ、この匂い、結構好きかも……。

 そんなことを思う自分が変態チックでますます私は混乱していた
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