HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
俺が舞と会ったのは一度きりだったが、英理子とはたぶん何度か会っているはず。舞のお姉さんのピアノのレッスン日に一緒に来ていたみたいだからね。でもその英理子ですら忘れられているのだから、俺のことなど覚えていないのも当然か。
知らず知らずため息が漏れる。
――英理子はこの分厚い眼鏡姿でも舞のことにすぐに気がついたな……。
何となく俺のプライドが傷ついた。正直なところ、俺は記憶力には人一倍自信があった。他の人間の忘却力に呆れるくらいね。
それが英理子のほうがウワテだったというのが何とも腹立たしい。特にこの件に関しては、だ。
英理子が去った後、舞の様子を見ると何だか考えるような顔をして、ボーっとしていた。
――……珍しいな。何を考えてるんだろう?
少し憂いを帯びた表情に俺はしばし見とれていた。
だが、舞はその俺の視線にも気がつくことなく、自分の世界に閉じこもってしまったようだった。
知らず知らずため息が漏れる。
――英理子はこの分厚い眼鏡姿でも舞のことにすぐに気がついたな……。
何となく俺のプライドが傷ついた。正直なところ、俺は記憶力には人一倍自信があった。他の人間の忘却力に呆れるくらいね。
それが英理子のほうがウワテだったというのが何とも腹立たしい。特にこの件に関しては、だ。
英理子が去った後、舞の様子を見ると何だか考えるような顔をして、ボーっとしていた。
――……珍しいな。何を考えてるんだろう?
少し憂いを帯びた表情に俺はしばし見とれていた。
だが、舞はその俺の視線にも気がつくことなく、自分の世界に閉じこもってしまったようだった。