HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
ケータイを見ると母親からメールが来ていた。
――「昼ご飯はありません」……って、どういうことだよ!?
たぶんあの母親のことだから友達とランチに行っているのだろう。親父もよく何も言わないよな。言っても無駄だというのもあるけど。
俺はそれなら本屋に寄って帰ろうと思い、駅のほうへ向かって自転車を漕いだ。
もうウチの学校の生徒はほとんどいない。土曜なんて用事がなければさっさと下校するものだ。
そう思って角を曲がると思いがけずウチの学校の女子の制服が見えた。しかも白い車が低速で車線を無視して彼女の横にぴったりとつけている。なんだ?
――あれ? もしかして……
近づいていくとその女子が知っている人に見えてきた。そう思っている間に開いている運転席の窓から手が伸びて、その女子の腕をつかんだ。
――おいおい! 何してるんだ?
俺は胸騒ぎがして自転車のスピードを上げた。
彼女はつかまれた腕を何とか振りほどこうともがいている。その横顔は紛れもなく舞だった。
「高橋さん」
確信すると同時に俺は彼女の名前を呼んでいた。
すると突然、運転手の男が高橋さんの腕を放し、彼女は勢い余って倒れそうになる。車が急発進した。
「危ない!」
何とか間に合って、藁にも縋る思いで手を伸ばした舞を俺は受け止めた。
――「昼ご飯はありません」……って、どういうことだよ!?
たぶんあの母親のことだから友達とランチに行っているのだろう。親父もよく何も言わないよな。言っても無駄だというのもあるけど。
俺はそれなら本屋に寄って帰ろうと思い、駅のほうへ向かって自転車を漕いだ。
もうウチの学校の生徒はほとんどいない。土曜なんて用事がなければさっさと下校するものだ。
そう思って角を曲がると思いがけずウチの学校の女子の制服が見えた。しかも白い車が低速で車線を無視して彼女の横にぴったりとつけている。なんだ?
――あれ? もしかして……
近づいていくとその女子が知っている人に見えてきた。そう思っている間に開いている運転席の窓から手が伸びて、その女子の腕をつかんだ。
――おいおい! 何してるんだ?
俺は胸騒ぎがして自転車のスピードを上げた。
彼女はつかまれた腕を何とか振りほどこうともがいている。その横顔は紛れもなく舞だった。
「高橋さん」
確信すると同時に俺は彼女の名前を呼んでいた。
すると突然、運転手の男が高橋さんの腕を放し、彼女は勢い余って倒れそうになる。車が急発進した。
「危ない!」
何とか間に合って、藁にも縋る思いで手を伸ばした舞を俺は受け止めた。