HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「あの……私と付き合ってください」
俺は田中から借りた漫画に読みふけっていた。仕方なく傍らに立つ女子を見る。確か一年生でかわいいと評判の子だ。
「俺、今気になる人がいて、キミとは付き合えないよ。ごめんね」
自分にしては優しく丁寧に断ったほうだと思う。何しろ、無関心を装ってはいるが、隣には舞が座っている。聞こえていないフリをするだろうが、絶対彼女は聞いているはずだ。
だから俺からするとこのセリフは、むしろ舞に対して告白しているようなものだった。
――まぁ、全然気がついてないと思うけど。
諦め半分でちらりと舞の様子を窺うと、本を開いてはいるものの、何やら眉に皺を寄せて難しい顔をして瞬きを繰り返している。
思わず笑い出したくなるのをこらえて、改めて俺の席の横に突っ立っている訪問客を見た。
「その気になる人って、私よりもかわいい人なんですか?」
彼女は挑むような視線をよこしてそう言った。
よくそんな自信満々な発言ができるな、と感心しながら彼女をまじまじと見つめた。確かに容姿はそれなりのレベルだが、周りがちやほやしすぎるのか全身から「私はかわいい」という傲慢さが滲み出ているようだ。
そういうツンツンしたところが好きだという男もいるだろうが、はっきり言って俺のタイプじゃない。
できればその天狗の鼻をへし折ってやりたいという意地悪な気持ちが俺の中で大きくなる。
「うん」
彼女は不愉快だとばかりに鋭い目つきで睨んできた。まだ納得が行かないらしい。
この際、そういうところが苦手なんだとはっきり言ってやりたいが、この人目の多い場所であまり過激な発言はしないほうがいいような気がして、結局無難な路線で彼女を退けることにする。
俺は田中から借りた漫画に読みふけっていた。仕方なく傍らに立つ女子を見る。確か一年生でかわいいと評判の子だ。
「俺、今気になる人がいて、キミとは付き合えないよ。ごめんね」
自分にしては優しく丁寧に断ったほうだと思う。何しろ、無関心を装ってはいるが、隣には舞が座っている。聞こえていないフリをするだろうが、絶対彼女は聞いているはずだ。
だから俺からするとこのセリフは、むしろ舞に対して告白しているようなものだった。
――まぁ、全然気がついてないと思うけど。
諦め半分でちらりと舞の様子を窺うと、本を開いてはいるものの、何やら眉に皺を寄せて難しい顔をして瞬きを繰り返している。
思わず笑い出したくなるのをこらえて、改めて俺の席の横に突っ立っている訪問客を見た。
「その気になる人って、私よりもかわいい人なんですか?」
彼女は挑むような視線をよこしてそう言った。
よくそんな自信満々な発言ができるな、と感心しながら彼女をまじまじと見つめた。確かに容姿はそれなりのレベルだが、周りがちやほやしすぎるのか全身から「私はかわいい」という傲慢さが滲み出ているようだ。
そういうツンツンしたところが好きだという男もいるだろうが、はっきり言って俺のタイプじゃない。
できればその天狗の鼻をへし折ってやりたいという意地悪な気持ちが俺の中で大きくなる。
「うん」
彼女は不愉快だとばかりに鋭い目つきで睨んできた。まだ納得が行かないらしい。
この際、そういうところが苦手なんだとはっきり言ってやりたいが、この人目の多い場所であまり過激な発言はしないほうがいいような気がして、結局無難な路線で彼女を退けることにする。