HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「あそこにいるサッカー部のヤツ、知ってる?」
俺はクラスメイトの菅原(すがわら)を指差した。
「はい。人気ある人ですよね」
そうなのだ。菅原は身長も低めで足も短めだが、いわゆるサッカー馬鹿で、少し垂れ目気味のところが一部の女子に絶大な人気があった。
それをいいことに菅原は二股をかけるくらいのことは日常茶飯事で、俺と同じくらい悪評高くもある。ちなみに俺は菅原のことはあまり好きじゃない。
「そう。例えばさ、キミがもし今、アイツに『付き合って』って言われたら、キミはどうする?」
「お断りします。私は清水先輩が好きなんです」
――菅原、ご愁傷様。
「つまり、そういうこと」
「……わかりました。でも私、諦めませんから」
そう高飛車に言い捨てると彼女は回れ右をして教室を出て行った。
俺はとりあえず面倒を回避したことに満足して、また漫画を読み始めた。
すると誰かが前の席に座る気配がした。それが田中なのは見なくてもわかる。
「おい、清水。あれ、1年で一番かわいいって子だろ? フっちゃって勿体ねぇな。いいのかよ?」
田中は深刻そうな声を出した。
「いいも何も、興味ない」
「珍しいな。1年のときはかわいい子なら即オッケーだったろうが」
確かにそういうこともあった。それは否定できないが、今、ここで言われたくはない。
「人聞き悪いこと言うなよ」
「本当のことだろ? とっかえひっかえ……」
俺はクラスメイトの菅原(すがわら)を指差した。
「はい。人気ある人ですよね」
そうなのだ。菅原は身長も低めで足も短めだが、いわゆるサッカー馬鹿で、少し垂れ目気味のところが一部の女子に絶大な人気があった。
それをいいことに菅原は二股をかけるくらいのことは日常茶飯事で、俺と同じくらい悪評高くもある。ちなみに俺は菅原のことはあまり好きじゃない。
「そう。例えばさ、キミがもし今、アイツに『付き合って』って言われたら、キミはどうする?」
「お断りします。私は清水先輩が好きなんです」
――菅原、ご愁傷様。
「つまり、そういうこと」
「……わかりました。でも私、諦めませんから」
そう高飛車に言い捨てると彼女は回れ右をして教室を出て行った。
俺はとりあえず面倒を回避したことに満足して、また漫画を読み始めた。
すると誰かが前の席に座る気配がした。それが田中なのは見なくてもわかる。
「おい、清水。あれ、1年で一番かわいいって子だろ? フっちゃって勿体ねぇな。いいのかよ?」
田中は深刻そうな声を出した。
「いいも何も、興味ない」
「珍しいな。1年のときはかわいい子なら即オッケーだったろうが」
確かにそういうこともあった。それは否定できないが、今、ここで言われたくはない。
「人聞き悪いこと言うなよ」
「本当のことだろ? とっかえひっかえ……」