HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-

 

「……別にいいんじゃない?」



 意外にも俺を励ますような力強い語調だった。

「それはどういう意味?」

「どうって……それは人それぞれだと思うから。私が好む好まないは関係ないことだと思っただけ」

 ――なるほど。

 俺は頬杖をついた。考えてみればそれは至極当然の答えだった。

 だが、俺の立場は厳しいどころではない。そもそも眼中にもないと言われたのだ。

「つまり、高橋さんは俺に興味がないということ?」

 ここで引き下がらないのが、俺。

 今まではそうかもしれないけど、今日からは俺に興味を持ってもらいます。

「きょ、興味って……」

 ――困ってる、困ってる。

 内心、俺はほくそ笑んだ。

「答えにくいでしょ? じゃあ、好きな人がもしそういうヤツだったら?」

「別に……」

 ――強がっちゃって。

「気にしないの?」

「まぁ……」

「浮気されるかもしれないよ?」

「それは、そういう人を好きになったんだったら仕方ないんじゃない?」

 ――仕方ない?

 かなり意外な言葉だった。それは相手の嫌な部分も受け入れるということだろうか。俺なら無理だ、と思う。

「高橋さんってやっぱり変わってるね。あ、悪い意味じゃなくて。普通は『そんな男はイヤ』って思うからさ。俺だって自分の好きな人がそんなだったらやっぱり嫌だし」

 舞も少し驚いた様子で俺を見た。ホント、俺はどういう風に見られているんだろう。
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