HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「まず俺は高橋さんに金を請求されていない。それに弱みを握られてもいない」
「あ?」
間抜けな返事だ。口をだらしなく開けたまま田中は固まった。ダメ押しに俺は付け足した。
「あと、高橋さんが休みでつまらないな、と思っていたところ」
田中はぱちぱちと細い目を何度か瞬きさせる。
「清水、お前……それって、あの高橋と仲良くしてるってこと?」
信じられないものを見るように田中は俺から少し遠ざかった。俺はその言い方にムッとしてすぐに言い返す。
「『あの高橋』って、そんな言い方は高橋さんに失礼だろ」
「だってアイツ暗いじゃん。友達もいないし。でも実は裏で危ないことしてるんじゃないかって噂だぞ?」
「危ないこと? ……噂?」
「そうだよ。あの分厚い眼鏡もダテで、実はアイツ結構綺麗な顔してるから、ほら、怖い人たちと仲良くて、ヤバいこともいろいろやってるらしいとか……」
俺はムカつくのを通り越して呆れた。
「誰だよ、そんなこと言ってるヤツ」
「うちのクラスのヤツ、みんなそう思ってるよ」
「バッカじゃねぇの!?」
教室内がシンと静まり返った。
いつの間にか俺は立ち上がっていて、田中を見下す格好になっていた。
クラス内の全視線を一身に受けて、更に俺の怒りは膨れ上がる。
――なんて低俗なヤツらだ!
一人ひとりの顔を睨みつけると俺は椅子を乱暴に戻して教室を出た。
「あ?」
間抜けな返事だ。口をだらしなく開けたまま田中は固まった。ダメ押しに俺は付け足した。
「あと、高橋さんが休みでつまらないな、と思っていたところ」
田中はぱちぱちと細い目を何度か瞬きさせる。
「清水、お前……それって、あの高橋と仲良くしてるってこと?」
信じられないものを見るように田中は俺から少し遠ざかった。俺はその言い方にムッとしてすぐに言い返す。
「『あの高橋』って、そんな言い方は高橋さんに失礼だろ」
「だってアイツ暗いじゃん。友達もいないし。でも実は裏で危ないことしてるんじゃないかって噂だぞ?」
「危ないこと? ……噂?」
「そうだよ。あの分厚い眼鏡もダテで、実はアイツ結構綺麗な顔してるから、ほら、怖い人たちと仲良くて、ヤバいこともいろいろやってるらしいとか……」
俺はムカつくのを通り越して呆れた。
「誰だよ、そんなこと言ってるヤツ」
「うちのクラスのヤツ、みんなそう思ってるよ」
「バッカじゃねぇの!?」
教室内がシンと静まり返った。
いつの間にか俺は立ち上がっていて、田中を見下す格好になっていた。
クラス内の全視線を一身に受けて、更に俺の怒りは膨れ上がる。
――なんて低俗なヤツらだ!
一人ひとりの顔を睨みつけると俺は椅子を乱暴に戻して教室を出た。