HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 すると彼はにっこりしながら少し肩をすくめて見せた。

「で、どうする?」

「でも私なんかと一緒だと迷惑じゃ……」

 私はついクセで下を向いた。清水くんと私とではあまりにも釣り合いが取れない。こうして並んで歩いているのも、清水くんにすれば恥ずかしいんじゃないかと心配になるくらいだ。

「高橋さんって、俺のことそんなに嫌いなわけ?」

 ……その質問の仕方はずるい、と思う。「好き」か「嫌い」の二択で答えろということなの?

「……嫌い……とかじゃない……けど」

 私は口の中でもごもごと言った。

「じゃあ……」

 清水くんが言いかけた言葉にかぶせるように少し大きな声を出した。

「どうして私のことを構うのかわからない!」

 彼は言葉を飲み込んだようだ。そして私の目をじっと見つめた。

 私はだんだん自虐的な気持ちが強くなってきた。この際だ、思っていたことを言ってやる。

「私をからかうと楽しいから? どうせ面白い玩具か何かだと思ってるんでしょ? そして……み、みんなで私を笑って……た、楽しいですか?」

 言いながら気持ちが高ぶって最後は涙声になってしまった。

 別にそこまで清水くんが憎いわけじゃなかった。でも、なぜ彼が自分に必要以上に構うのかが私には全然わからない。

 考えられる理由は……それくらいしか……………。

「楽しいのは、当たってるかな」

 ああ、やっぱりそうなんだ……。

 私は俯いたまま唇を噛んだ。涙が零れ落ちそうになる。泣くな、こんなことくらいで。
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