HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 清水くんに腕を引っ張られて席に着いた。

 私はようやくメガネを外してハンカチで拭くことができた。よかった、これで見える。

 メガネを掛け直すと向かい側に座った清水くんと目が合った。

 いつも隣の席のソイツが真正面にいるのは妙な感じだった。落ち着かなくて視線を外してしまう。

「あの……さっきは本当にありがとう」

 やっとまともにお礼を言えた。

「別に、俺は何もしてないよ」

 清水くんは少し身体をずらして頬杖をついた。

 彼はよくそのポーズをする。身長が高い分、椅子が小さく見える。

 たぶん他の人がこんな格好をしていても「何カッコつけてるんだ?」と思ってしまうだろうが、彼は……違った。

 正直に言って、私はしばし見惚れていたと思う。

「えっと、高校生って私たち以外いないみたいだけど……」

 わざとらしく周りを見渡しながら話題を振った。だって何か話していないとまたボケーっと見惚れてしまいそうだったから……

「そうだね。普通はファストフードとかだろうね」

 清水くんは面白くなさそうに言った。

「だけどいつも混んでるから苦手」

 そうなんだ。私はあまり利用しないからわからない。ちなみに定食屋なんて初めてかも。

「でも清水くんと定食屋さんってギャップが……」

「そう? 高橋さんって俺をどういうイメージで見てるんだろう」

 クスリと笑った。この顔はちょっと悪魔っぽいな、と自分勝手に分類する。

「どういう……と聞かれても……」

 答えにくい。
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