HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 T市にある私の通う学校はこの地域では名門の進学校だ。

 名門というだけあって制服はなんとかという世界的に有名なデザイナーさんのデザインらしい。ちなみに私はブランドモノなどには興味がないので名前すら覚えていないけどね。

 ブランドモノだから制服の値段も一般の高校に比べると5倍とか!

 母がお値段に仰天したが、名門校に30番以内の成績で入学できた私にご褒美で喜んで購入してくれた。

 私の住む町はT市から電車で30分くらいかかる小さな町だ。この町から名門校に進めるのは学年で数人いるかいないか……。

 だから母は密かに鼻が高いらしい。

 私と言えばこの小さな町から早く出たくて一生懸命勉強しているだけなんだけどね。でも成績が良いことを怒る人っていないでしょ?

 そんな小さな町だから遊ぶところもない、っていうのが本当のところだったりするんだけど。誘惑もないから勉強するしかないわけ。

 それでT市の名門校に通うことになっても帰宅部だから相変わらず誘惑のない日々。

 成績も常に50番以内はキープ。……本当は10番以内をキープしたいところなんだけど、どうも苦手な教科ができちゃって、なかなかうまくいかない。

 それでも私は優等生としてクラスメイトからも一目置かれていた。



 でも……どっちかというと「優等生」だから一目置かれているのではなくて……あまりにもかわいくないからみんなが近寄りたがらないのが本当のところかもしれない。
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