HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「高橋さんは文系なの? 確か数学苦手って言ってたよね」
「……そうです」
「行きたい学部はあるの?」
「あると言えばあるような……」
言葉を濁すのは訳がある。行きたい学部を言えば、地元の国立大の中でその学部がある大学は一つに絞られてしまうからだ。
その大学は正直なところ、今の私の成績で合格するのは難しい。
うちの高校は地元では名門校だが、それでもその大学を受験して合格するのは毎年10人に満たない。それくらいの難関大学だ。
県外なら私でも楽に狙える大学はたくさんあるし、本当はあの小さな町から飛び出したいところなんだけど……
「文学部でしょ?」
清水くんはズバリ断定した。
私は驚いてメガネの奥から穴が開くほど彼の顔を凝視したと思う。
「……どうして?」
彼は「当たった!」とにっこり微笑んだ。
「高橋さんっていつも小説読んでるから、そうかな? と思っただけ」
学校では特に話をする人もいないから休み時間はほとんど小説を読んでいた。読書のおかげで友達がいなくても学校でそれなりに生活できているとも言える。勿論、読むのは大好きなんだけどね。
「俺は……まだ迷ってる」
清水くんは漬物をぽりぽりと食べた。彼と漬物……これまた不思議な組み合わせだ。
「……そうです」
「行きたい学部はあるの?」
「あると言えばあるような……」
言葉を濁すのは訳がある。行きたい学部を言えば、地元の国立大の中でその学部がある大学は一つに絞られてしまうからだ。
その大学は正直なところ、今の私の成績で合格するのは難しい。
うちの高校は地元では名門校だが、それでもその大学を受験して合格するのは毎年10人に満たない。それくらいの難関大学だ。
県外なら私でも楽に狙える大学はたくさんあるし、本当はあの小さな町から飛び出したいところなんだけど……
「文学部でしょ?」
清水くんはズバリ断定した。
私は驚いてメガネの奥から穴が開くほど彼の顔を凝視したと思う。
「……どうして?」
彼は「当たった!」とにっこり微笑んだ。
「高橋さんっていつも小説読んでるから、そうかな? と思っただけ」
学校では特に話をする人もいないから休み時間はほとんど小説を読んでいた。読書のおかげで友達がいなくても学校でそれなりに生活できているとも言える。勿論、読むのは大好きなんだけどね。
「俺は……まだ迷ってる」
清水くんは漬物をぽりぽりと食べた。彼と漬物……これまた不思議な組み合わせだ。