HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 学校からかなり離れたところで一息つく。

 そこに後ろから自転車の清水くんがやってきた。

「ずいぶん歩くの早いね」

 私は澄ました顔で「まぁね」と言いたいところだったが、実はかなり息が上がっていて返事をするのがやっとだった。

 その様子を見てなにやら笑いを噛み殺した清水くんは、ニヤニヤと意地の悪そうな笑みを浮かべた。

「そんなに早く図書館に行きたい?」

「は!?」

 急に顔が赤くなった。違う! 違うんです!! と心の中で叫ぶが、じゃあなぜ? と問われると困るので結局目をぱちくりとさせただけだった。

「じゃ、後ろに乗って」

「え?」



 ――えええええ!!!!!



 後ろって、自転車の?

「だ、だめ! 二人乗りは違反だもん」

 清水くんは私の言葉を鼻で笑った。

「本当は後ろに乗るのが怖いんでしょ?」

「違います!」

「じゃあ、どうぞ」

「それでは失礼しますっ」

 ああもう、ヤケクソだ!

 荷台に横座りする。後輪のタイヤが凹んでないか少し心配だったが、大丈夫そうだ。よかった。
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