HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
俺は英理子を軽く睨んだ。さすがに英理子はハッとして失敗した、という表情をした。
「ごめん。言い過ぎた」
「いいんだ。実際そうだしね。あの人はそれでも俺のことなんかどうとも思ってないし」
「そんなことないよ! サヤカさんはね……」
「もうあの人のことは聞きたくない。今更『泣いてる』とか言われても遅いよ」
英理子が口に手を当てた。
「知って……たんだ」
「そりゃね。だけど仕方ないだろ? どうにもならないんだよ、今更」
「はるくん、もしかしてまだ……」
俺は首を横に振った。
「ていうか、サヤカさんって誰?」
わざととぼけて見せた。英理子は俺の腕をバシバシと叩いた。ものすごく痛い。どんな怪力なんだ?
「……きっといいことあるよ!」
英理子なりに俺を励ましてくれているようだ。心の中で素直に感謝した。
実際、今更どうにもならないことだ。
サヤカさんはもういない。
それにもう一年も前に終わったことなのだ。
それでも俺は彼女を追いかけてこの学校に入学した。未練がなかったとは言い切れない。遠くからひとめでも彼女を見ることができたらいいと思っていたから。
でも結局それは叶わなかった。
なぜなら彼女はウィーンに留学してしまったからだ。
「ごめん。言い過ぎた」
「いいんだ。実際そうだしね。あの人はそれでも俺のことなんかどうとも思ってないし」
「そんなことないよ! サヤカさんはね……」
「もうあの人のことは聞きたくない。今更『泣いてる』とか言われても遅いよ」
英理子が口に手を当てた。
「知って……たんだ」
「そりゃね。だけど仕方ないだろ? どうにもならないんだよ、今更」
「はるくん、もしかしてまだ……」
俺は首を横に振った。
「ていうか、サヤカさんって誰?」
わざととぼけて見せた。英理子は俺の腕をバシバシと叩いた。ものすごく痛い。どんな怪力なんだ?
「……きっといいことあるよ!」
英理子なりに俺を励ましてくれているようだ。心の中で素直に感謝した。
実際、今更どうにもならないことだ。
サヤカさんはもういない。
それにもう一年も前に終わったことなのだ。
それでも俺は彼女を追いかけてこの学校に入学した。未練がなかったとは言い切れない。遠くからひとめでも彼女を見ることができたらいいと思っていたから。
でも結局それは叶わなかった。
なぜなら彼女はウィーンに留学してしまったからだ。