HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
――そうか。あのときの……。俺たちはもっと幼い頃に会っていたんだ。
だが俺の気持ちは複雑だった。なぜかと言うと彼女に会ったことがあるということ以外何も覚えていない。何をして遊んだのかなんてまるで思い出せない。
――あのときは本当に人形みたいでかわいかったのにな。
別に今がかわいくないと思っているわけではないが、まさかこんな姿になっているとは……なんて言ったらやはり失礼だな。ごめんね、高橋さん。
だが考え方を変えてみるとあの姿は非常に効果的だ。少しかわいいというだけで周りにちやほやされて、どうしようもない男と付き合って穢れていく女の子は多い。もったいない話だ。
――そのどうしようもない男の筆頭が俺なんだけどさ……。
知らないうちにため息が出る。
『はるくんのやってることは結局サヤカさんに対する当て擦りじゃない!』
――英理子もはっきり言いやがって。
サヤカさんにふられてかなりの痛手を負ったのは確かだった。そもそもサヤカさんから好きだと告ってきたくせに、半年足らずで「留学することが決まりました」というのはいくらなんでも酷すぎる。俺もサヤカさんを好きになって、二人はこれからというところだったのだ。
初恋なんてそんなもの、と割り切るには俺は幼すぎて、行き場のない気持ちをどうにかして処理しなくてはならなかった。そのために他の女の子を利用したと非難されれば反論できない。
――俺、サイテー……。