*恋に不器用な私*
――放課後――
さっそく今日の放課後から衣装作りなどが始まった。
私は、手先が器用ではないので、メイド服を作るのに苦戦していた。
すると、聞き慣れた嫌な声が聞こえた。
「一ノ瀬ー。」
そう。
嫌な声とは三浦奏多のこと。
あいつがクラスに来ると、「きゃー!」という女子の黄色い歓声が教室に鳴り響いた。
私は、もちろん無視した。
「なー、一ノ瀬!」
「…。」
「一ノ瀬ってば!」
「…。」
無視し続ける私にたえられなくなったのか、あいつは教室に入って、私の横にしゃがみこんだ。