水色ミステリアス。
俺は「部活入部希望届」の上の欄を見た。
部活動一覧、と書かれた中にはゴシック書体で文字がずらっと並んでいる。
読む気が失せる。もっと改行しろ。
さてはて、運動部だけでもかなりの数があるみたいだな。
だが体を動かすのはさほど好きではないので、却下。
「文芸部なんて、美希斗にピッタリじゃないかい?」
「・・・それは俺がオタクだとかネクラだとか言いたいのか。」
「そうは言ってないだろう?・・・全く、全国の文芸部員に謝ってほしいものだね」
文化部は・・・運動部よりも種類がたくさんある。
調理部、吹奏楽部、美術部など一般的なものが並んでいる。
アブノーマルなのは、視力検査部。・・・ひたすら視力を測るのか?
インターネットミュージック部。・・・いかにも近代的だ。
GEM部。・・・一体何の略だ。
とまあ、とりあえず沢山あるのは分かった。
でも俺は部活など入る予定などハナから無かった訳で、活動日は少ない方がいい。
週1の部活・・・週1の部活は・・・
「美希斗!これなんかどうだい?」
「ん?」
聖が指差したのは教室の壁に掲示してある「ミステリー同好会」のポスター。
そういえば各所で見かけた。
『この謎を解けた者こそ我がミステリー同好会には相応しい』…?
どういう意味だ。
「うーん・・・週2か・・・」
「いいじゃないか!別にバイトする訳でもないんだろう?それにオカルトっぽくて楽しそうだ!」
「ミステリーとオカルトが同じ類だと思うな。いいか、ミステリーはな・・・」
「はいはい、さいで。その情熱があれば大丈夫そうだね」
「だが活動内容の詳細が不透明だ。」
「いいじゃないか、細かいことは!・・・さ、そうと決まったらミステリー同好会と書く!」
「・・・いつの間に決まっている、というか誰が決めた。承諾した覚えはないし、なにより俺に拒否権は・・・」
「センセー!書けたー!」
・・・こいつの強引さと言ったら、天下一だ。
まあ、いい。
多少不本意ではあるが、決めかねる事項は早めに処理した方がいい。
俺は無駄に大きな欄に小さな癖文字で「ミステリー同好会」と書いた。
――文芸部よりよっぽどネクラだ。