水色ミステリアス。
初めての部活動は、あれから2日後に行われた。
北棟の2階、東側の空き教室。
階段を一段ずつあがる俺と、何が楽しいのかちょこちょこ走る聖。
2階に着くと廊下側の窓は全開になっており、ミステリー同好会の誰かが風通しを気にしてあけたのだろう。
ということは一番初めに到着した、ということはなさそうだ。
それは空き教室・・・改め部室に入ってもわかること・・・
・・・のはずだった。
「こんにっちはァァ!僕、1年C組の磯山ひ・・・・・って、え?」
「ん?どうした、聖」
「どうして誰もいないんだろ・・・?」
「窓は開いてたのにな。・・・実に不自然だ」
教室にはホワイトボード、木目が残る長机、たくさんのファイルがしまってある本棚、その他沢山のダンボール。
教室内の窓も全開になっており、資料がなびき、いろんな場所に散らばっている。
決して綺麗とは言えない。
むしろ散乱している。
「もしかしたら部長さんか誰かが一回この教室に入って、何か用事を思い出して留守にしたとか。」
「ほう・・・ずいぶん不用心な部長だな。部費を机の上に置いたまま出かけたか」
机の上には決して隠したようには見えない、むしろ会計か何かのやりかけだったのだろう。
そのままにしている。
「それほど急いでたとすれば分からないでもないだろう?」
「・・・いいや、聖。その推理は間違ってる」
「どこがさ?」
「一つ。ここに“部長”はいない。同好会長だ。
二つ。ここには“誰もいない”訳ではない」
「え?」
――その途端、後ろの方からカサッと音がした。
「くぅおらぁぁ!まってぇぇええ!」
「え?」
「どうも、こんにちは。ミステリー同好会会長、榊原 ナツミさん」
「ん?・・・誰だ、おまいら」
榊原 ナツミはその時、猫を追っていたのだ。