水色ミステリアス。



「美希斗。聞いていいかい?」

「…俺に答えられることだったら」

「美希斗は……どうして先輩がいることに気づいたんだい?」


拍子抜けした。

そんなことか。


「…まず、ミステリー同好会の部員は一名、同好会長の榊原先輩1人だ。

そんなミステリー同好会は廃部寸前、でも榊原先輩は存続したいと何度も職員室に訪れ、先生に頼み込んだそうだ。

一年生にとって初めての部活動となる今日から一週間は体験入部期間となっている。

…そして俺らが二階に上がった時、廊下側の窓、そしてこの教室の窓は開いていて、教室は散乱していた」


これだけ言えばさすがにわかるだろう。


「ん?だから、どういうこと?」


聖は恥ずかしげもなく言う。

…このバカ野郎。


「…つまり、お前が言った推理は間違ってたんだよ。

一つ。部員が1人の部活で、部費を机上に広げたまま、窓、ドアを開けっ放しで教室を離れる訳がない。

二つ。存続が危うい部活動なら、部員が欲しい。だか1人で宣伝活動するのは難しい。体験入部の時点でもたくさんの部活の中からこの同好会を選ぶ人は少ない。そこでだ。誰もが興味を持ってくれるようなものを作った」

「あっ、そうか!それがあのポスター…!」


物わかりは悪くないな。


「そう。…そして三つ、廊下側の窓が全開なのと、教室が散乱していた件。
あたかも俺たちみたいなやつらがこの教室に来るまでに部員の誰かが上がってきて、教室を去ったと見せかけるようなトリック」

「見せかけ…?」

「まだ気づかないか?一つ目、三つ目がわざとらしいとは思わないか。二つ目は…もう解答だ」


静かになった教室。

榊原をちらっと見ると、どこを見ているのかわからないが、口元に小さな笑みを浮かべている。


「ポスターに書いてあった『謎』は、人がいるかどうかのことだったんだよ。

これを見破った者こそ、我がミステリー同好会には相応しいってね。

だから…模範解答は…そうだな。

“騙されたら負け、見破れば見事入部”ってとこだな」

「つまり…俺たちは試されてた…!」

「ああ。…そうですよね?先輩」


榊原ナツミは、ふっと微笑んだ。




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