水色ミステリアス。
「ふふふっ…これは驚いた。心意まで見透かされてるとは…。あんた本当に香奈子の弟?」
…俺の姉は確かにぼーっとしたやつだが、俺もさほど変わりない。
「推理力、洞察力ともに、目を見張るものがあるわね。…あなたこそ、我がミステリー同好会には相応しい…いや、必要よ」
「俺はそんな大したことはしてませんよ。運が良かった…それだけの話です」
そう。
…運が良かった。
「運?…でも謎はもともと用意されてたものよ?」
「その謎を作ったのが、あなたでなくて本当に良かった」
「えっ?」
聖が何のことかわからないような声をあげる。
「あなたは試した。俺たちと、新たなる新入部員の実力を。…そこにいるんだろ?この謎の作者さん」
俺が見た方向――本棚の影から1人の少女が出てくる。
肩まで伸びた少し短めの黒髪に、綺麗な瞳をした…いわゆる美少女だ。
「どうして…わかったの?私がここにいることも、謎を作ったのが私だってことも」
「正確にはカマをかけた。そこにいるかどうかはあまり自信がなかったしな。
…だが謎があまりにも単純すぎた。ホームズ好きの犯行ではないと見た。
…とすれば、榊原先輩でないことは明白。第三者が作ったことになる。
榊原先輩がどうして第三者が作った謎を提供したか…それは試すため。
としたら新入部員だ。しかし新入部員の体験入部は今日から。1日で謎を用意するのは初心者には難しいだろう。…ということはあらかじめ用意していた可能性が高い。
それができるのは…榊原先輩の一年生の妹、または弟」
誰もが驚いた顔をした。
教室は再びシンとなる。
「幸い一年生に榊原という名字は2人。どちらにせよ可能性はある」
「美希斗はどうして8クラスもある中で全員を知ってるんだ!」
聖は興奮気味に問いただす。
「まさか。把握しているわけないだろう。2日間で調べたのさ。同好会長に妹、弟がいないかを役に立つかどうかはわからんが念のため、な」
ま、役に立ったが。