Tick Tack-眠れぬ夜-
「シン、起きてる?」


 私はベッドに腰掛けて、無防備に寝ている大男の耳に唇を寄せてそっと囁く。


「――寝てるに決まってんだろ」


 不機嫌な声でそういうと、金色の髪をわしゃわしゃと無骨な指でかき回し、寝ているときも外さない腕時計に目をやった。時刻は深夜二時を過ぎたところ。
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