Steady
その言葉を訊いて

澪が敦の頭を小突く。


小突かれた部分に

手をやりながら

敦が澪の顔をじっと見る。


「最後の台詞、台無しだし」


澪に言われて敦も

「悪ィ」と軽く謝ると

シャンパンを一口飲んだ。


全く悪気がなさそうに見えるのは、

私だけだろうか。


やっぱり、ここにいる敦は、

軽い。


私は一つ溜め息をつくと、

注ぎ足されたシャンパンを口に含む。


『同窓会で

 敦に会わなければよかった』


そう心の中で呟いた。




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