Steady
敦とデート。


私だって、

敦とのデートを

ずっとずっと何度も夢見てきた。


でも、心の中で

大切に思っていたそれと

あまりに違い過ぎて、

嬉しさよりも戸惑いの方が

どうしても上回ってしまう。


「いいよ」という簡単な一言が

出ずに俯いていると、


敦が私の顎を軽くつまみ

キュッと上げて視線を合わせ

ニコッと笑う。


「な、決まりってコトで」


「え、ちょっと敦。

 私まだ、いいって……」


「心配すんな。

 俺が彩加のことたくさん

 楽しませてやるから」


私の戸惑いなど全く無視し、

敦は無邪気な笑顔でさらりと言う。






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