Steady
慣れない靴のせいで

足のどこそこが

悲鳴をあげている。


玄関で靴を脱ぎ捨てると、

ぎこちない足取りで

自分の部屋のドアを開ける。


すぐ側にカバンを置くと、

そのままリビングへ向かう。


いつもは暗いリビングが、

今日は珍しく

暖かな明かりがともっている。


「ただいま」


とりあえず挨拶だけ口にすると、

定位置である

ダイニングの椅子に座る。


ようやく帰ってこれた開放感で

私の口から大きな息が漏れる。


「お帰り。

 どうだった? 同窓会は」


きっと今日の仕事は

上手くいったのだろう。


柔らかな笑顔を見せて

母親が訊いてくる。



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