Steady
私の中で、

どうしてもあの頃との

ギャップが上手く埋められない。


そんな状態で

今の敦とデートに行くと、

きっともっと

心の整理がつかなくなってしまう。


「ちゃんと、断らなくちゃ」


周りに聞こえないように

小さく呟きこくんと頷く。


その瞬間、

電車のドアが勢いよく開いた。


私は人の波に

乗っかるようにして

電車から降りる。


その場で乱れた洋服を

さっと直すと、

周りに人がいないのを

確認してから大きく1回

深呼吸する。


辺りにあふれる

新鮮な空気を思い切り

吸い込み体に染み込ませると、

ようやく自分の頭の中が

正常に回転し始める。




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