Steady
休講ではないことを確認して、

いつものように教室へ向かう。


私の卒業論文の担当である

川岸教授は、

穏やかな口調ではあるが

目標に対する情熱は凄まじく、

受け持つ学生の論文が

仕上がるまでとことん

付き合ってくれるというのを

噂で訊いた。


川岸教授のその人間性から

ここの学生は

『大学のお父さん』

と呼んでいるそうだ。


だから、スケジュールが

ぎっしりと埋まっている

であろう川岸教授は、

たとえどんなに忙しくても

滅多にゼミを休講にはしないようだ。


そのお陰で、

こうして敦に会える

機会が増えている。




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