Steady
「私は、彩加。草壁彩加。

 “彩りを加える”

 で“あやか”」


「彩加ちゃんか。

 可愛い名前、

 彩加ちゃんにぴったりだ」


そう言って優はにっこりと笑う。


やっぱり優を見れば見るほど、

あの頃の敦に見えてしまう。


私の中でどうしても

敦と優の整理がつかない。


こんなにも顔が一緒なのに、

やっぱり別人なのだろうか。


こんなことって、

本当にあり得るのだろうか。


「彩加ちゃん。

 改めてよろしくね」


屈託のない

ふわりとした笑顔を見せる優に、

私の顔もつられて笑顔になる。


「うん。よろしくね、

 ……優くん」


始業のチャイムが鳴り響き、

優は後ろの席へと歩いていった。



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