Steady
「では、また来週」


川岸教授の言葉に、

学生が一斉に動き出す。


やっぱり90分では

私の心の整理なんて

つくはずもない。


ちゃんと答えを

導き出せないまま、

私も席を立つ。


このまま家に帰る

気分でもないから、

ふらりとどこかへ行こうか。


そんなことを考えていると、

ふと私の肩がぽんぽんと叩かれる。


振り返った瞬間

「やあ」とやんわり

声をかけられる。


「優、くん……」


微笑みながら

私を優しく見つめる優の視線に、

私の胸がどくんと反応する。


動揺をみせないように

なんとか平静を保とうと、

私も僅かに微笑み返す。


「どうしたの?

 私に何か用、かな」




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