Steady
「いいよ。私も、

 優くんと過ごしたい」


私の言葉に、

優はマシュマロのように

柔らかな表情を浮かべる。


「よかったー。

 彩加ちゃんもそう

 思ってくれて。

 じゃ、行こうか」


「うん」


頷くのを確認すると、

優はゆっくりと歩き始めた。


私も優に置いていかれないように

さっとカバンを持って歩き始める。


一緒に歩いてみて、

ふと気が付く。


優は私の少し前を

歩いているけれど、

まるでちゃんと

確認しているかのように

私の歩調に合わせてくれている。


いきなり手を繋いだり、

肩を抱いたりなんてしない。


相手を思いやる優しさが

優の背中から伝わってきて、

私の心がほんのり温かくなった。



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