Steady
私の少し前を

優がゆっくりと歩く。


その後ろ姿を見ていると、

あの頃の敦の姿が自然と重なる。


小学生だった敦も、

優のようにこうして

私に合わせて歩いてくれたな。


今の敦だったらどうなんだろう。


性格はすっかり

変わってしまったけれど、

こういう何気ない仕草や

行動は変わっていないで欲しい。


そんな事を考えながら

歩いていると、

ふと優が振り向く。


「ねぇ、彩加ちゃん。

 どこに行こうっか」


ふんわりとした笑顔で訊かれ、

正直、私は返事に困ってしまう。


大抵1人で過ごすことが多い

大学生活。


友だちなんて、

ましてや男の子と2人で

なんて経験がない私は、

どういったところへ

行けばいいのかなんて

検討もつかない。





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