Steady
でも……


たった1ヶ所だけ、

私の好きな場所がある。


優が気に入ってくれるかは

分からないけれど、

きっと嫌な顔はしないはずだ。


「私のお気に入りの

 お店があるんだけど……、

 そこがいいかな」


私の言葉に

優がにっこりと笑顔で

こくんと頷く。


「うん、いいよ。

 俺も彩加ちゃんの

 お気に入りの場所に行ってみたい」


「じゃあ私、案内するね」


私もまた笑顔になる。


それまで

私の前を歩いていた優が

ぴたりと止まって、

私の手を取り前へと誘導する。




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