Steady
急に握られた手。


ほんの数秒の出来事に、

私の心臓が大きく

波打ち始める。


ドクンドクンと大きな音が

側にいる優にも

聞こえてしまいそうで、

すごく恥ずかしく感じる。


「……こっちだよ」


そんな姿を見られないように

少しだけ振り向いてそう言うと、

私はゆっくりと歩き始めた。


すぐ後ろから優の足音が続く。


暴れる鼓動をそのままに、

唯一のお気に入りの場所へと

向かった。




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