Steady
優も私の後に続く。


まだ開店して間もないからか、

まだお客さんはまばらだ。


店員に壁際の席へ案内される。


「彩加ちゃん、

 そっちのソファ席に座りな。

 俺、こっちに座るから」


そう言うと

優が通路側の椅子へ仕掛ける。


「ありがと」


私は優の言葉を受けて

ふかふかのソファ席へ

ちょこんと座る。


案内してくれた店員に

注文を済ませると、

私はなんとなく携帯電話を手にした。


何度も来ている場所なのに、

なんだか違う空間にいるようで

気持ちがふわふわしてしまう。


いつもなら、

ゆったりと座って

ドリンクを飲みながら

時間を忘れて過ごしているのに。


優がいる、

ただそれだけで

こんなにも変わって

しまうのだろうか。


意味もなく携帯電話を

操作する私を見て

優がぽつりと呟く。





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