Steady
母親は“活字中毒”と

言えるほど本が大好きだ。


幼い頃から毎日

何かしら本を読みふけっていた

そうだ。


最近は仕事や家事に追われ、

思うように本に向かう時間が

取れないのが寂しいと

ぼやいていた。


カフェラテを口にしながら

私は母親の区切りの良さそうな

タイミングを狙う。


数分が経ち、

母が本から視線を外したその時、

少し慌てつつも声をかけた。


「ねぇ、お母さん」


少し冷めてしまったコーヒーを

一口含みながら私へと

視線を向ける。


「何?

 どうしたの、改まって」


「急で申し訳ないんだけど、

 ……今日これから

 敦がウチに来るって」




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