Steady
「人気者って、誰がよ」


「俺だっつってんだろー」


こんなくだらないやり取り、

小学生振りで懐かしいし

少しくすぐったい。


もう少しだけ敦と話したい、

そんな想いがふつふつと

湧き上がってきているのに。


「おばさん、

 ありがとうございました」


敦は母親に向かってそう言うと、

さっさと玄関へと歩き始めた。


私もまた敦についていこうと

ぱたぱたと走る。


いつの間にやら

靴を履き終えていた敦は

私へ視線を向けるとニカッと笑った。


「な、何よ?」


「彩加、忘れんなよ」


あまりに唐突な言葉に

私の頭の中にいくつもの

クエスチョンマークが浮かぶ。




< 198 / 342 >

この作品をシェア

pagetop