Steady
リビングで休日を

のんびり楽しんでいる両親に

軽く声をかけると、

私はその足で玄関へ急ぐ。


歩きやすいメーカーの

スニーカーを履くと

ドアノブに手をかけ

一気に開いた。


「おう、彩加。

 もう用意出来てんのか?」


ニカっとイラズラな笑顔で

言う敦の姿は、

またこの間と違う雰囲気だった。


上は清潔感ある白のシャツに

チャコールグレーのジャケットを

羽織り、

下は真っ黒のジーンズに

がっしりとしたブーツを

合わせている。


てっきりふらりと

家に来た時の服を想像していた私は、

自分のあまりの

飾り気のなさに恥ずかしくなる。


「そ、そうよ。

 これでも準備は出来てるの。

 何か問題でも?」




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