Steady
“とってもイイ場所”


そのなんとも怪しげに

響く言葉に、私の胸が

ざわざわと音をたて始める。


この間の別れ際の場面を

思い出し、

さらに心が大きく反応する。


不意打ちのキス。


「何もしない」と

言っていたはずなのに、

敦は帰る間際の一瞬の間に、

軽くだけど私にキスをした。


本当に軽い、

ちょこんと触れるだけの

ピュアなキス。


それだけでも

私の頭は真っ白になったって

いうのに、

今、敦の口から出た言葉を

私はどう受け止めたら

いいのだろうか。


敦の考える“イイ場所”とは、

私にとっても“イイ場所”

なのだろうか。


言葉を失っていると

敦はアハハと笑ってから

言葉を続けた。




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