Steady
「ん」


「今日もやっぱり

 携帯電話2コ

 持ってきてるの?」


「今日はこっちだけで十分。

 オフの日まで

 縛られんの嫌だし」


とだけ言うと、

敦はまたしばらくの間、

携帯電話にかじりついていた。


その言葉に

引っかかるところは

あったけれど、

私は何も訊かずに

そのまま電車に

揺られることにした。


それからどれくらい

経ったのだろうか。


敦に手を握られたかと思うと、

「降りるぞ」

とだけ声をかけ

すっと席を立ち

私を引っ張った。




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