Steady
「それだけ言えれば、

 彩加は大丈夫だな。

 ほら、さっさと歩くぞ」


「ちょ、ちょっと……」


強引に進む敦のペースに

私はどうにかついて行く。


そう言えば、

敦はこういう人込みは

平気なのだろうか。


顔色一つ変えず

軽い足取りでスタスタ歩く

その姿に、

少し違和感を感じていた。


小学生の頃の敦は、

どちらかといえば

苦手だった気がする。


近所の夏祭りに一緒に行った時、

あのゆるい人込みでも

酔っていたのを思い出す。


やっぱり

『10年』のブランクは

短いようで長い。


「ねぇ、敦。

 ここって、センター街?」




< 216 / 342 >

この作品をシェア

pagetop