Steady
こんなはずじゃなかった。


私の望んでいた敦との再会は、

もっと心が温まるものだと

思っていた。


それなのに……。


慣れない街を

必死に駅に向かって走り続ける。


無我夢中で

息が上がっているのも

忘れるほどに。


どれくらい走ったか分からない。


どうにか渋谷駅に辿り着き

呼吸を整えてから

ゆっくり後ろを振り返る。


しかし、溢れる人の中に

敦の姿を見つけることは

出来なかった。





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