Steady
大学の休講掲示板で

足を止める。


川岸教授の講義が

あることを確認すると、

私はすぐ側にあるベンチへ

腰かけた。


私の口から

深い溜め息が漏れる。


いつもなら真っ直ぐ

504教室へ行くのだけれど、

今日はなんだか

その気になれない。


川岸教授の講義自体は

とても楽しいし

語り口調が心地よくて好きだ。


でも、

優と顔を合わせなくては

ならないことが

どうしても私の足を重くさせた。


この1週間、

私は敦と過ごす時間が多かった。


自然体で楽に

接することが出来て

嬉しかった反面、

敦への疑惑が

ふつふつと膨れ上がり

そのギャップを

受け入れることが難しかった。







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